1989年に開業した無料の公共露天温泉「湯元」。一時期は県内外から多くの人が訪れる人気スポットでしたが、観光客の減少やごみの不法投棄などが続き、平成12年に閉鎖へ追い込まれました。
しかしあるテレビ番組で、広島の奥座敷として賑わった湯来温泉に活気を取り戻すため、「湯元」を復活させることに!2019年12月、約19年の時を経て復活した「湯元」とはどんなスポットなのか、徹底解剖していきましょう。
まずは今回甦った「湯元」がどういった温泉だったのか振り返っていきましょう。そもそも「湯元」のあった湯来温泉は、1979年にはすでに存在していた歴史の長い温泉です。
そんな湯来温泉街の中でひと際存在感を放っていたのが、1989年にオープンした無料の公共露天風呂「湯元」。湯来温泉のすばらしい泉質を無料で体感できる施設とあって、県内外から多くの利用客が訪れました。周辺にある温泉旅館では、お客様用のシーツや浴衣などを「湯元」で洗う習慣もあったそうですよ。
そんな地元の人からも県外の人からも愛されていた「湯元」ですが、オープンからおよそ12年で閉鎖してしまいました。運転資金が不足したこと、そしてごみの不法投棄や騒音などのトラブルが多発したことが原因です。それから「湯元」は、20年以上放置され続けました。このままだと古くから続く湯来温泉は廃れていく一方です。
そんなとき、あるテレビ番組から『「湯元」にヒノキの浴槽を寄贈したい』との申し出がありました。「湯元」の復活に欠かせないヒノキの浴槽。これをきっかけに、「湯元」は20年越しの復活へと歩み始めます。
「湯元」の命運を左右するヒノキの浴槽は、2019年2月に放送されたテレビ番組内で作られました。携わったのは、広島に縁があったりなかったりする6名の芸能人と湯来の町民、そして広島の林業従事者たちです。30mもの大木を伐採から始め、なんとたった1日で浴槽を仕上げていきました。
出来上がったのはヒノキのフレッシュな香りが漂う、広々とした浴槽です。高級旅館の内風呂に採用されていてもおかしくないほど高級感あふれる浴槽は、「湯元」にとって大きな要となるでしょう。
しかし問題はまだ残っていました。浴槽までお湯を届ける配管やボイラーの老朽化、そして湯元の外観です。20年間ずっと放置されてきた「湯元」は想像以上に傷んでいて、とてもそのままでは使用できません。
そこでNPO法人 湯来観光地域づくり公社の佐藤さんが立ち上げたのは、クラウドファンディングの「湯来温泉 湯元 露天風呂復活プロジェクト」。古くなった部分を作り変え、ヒノキの香る露天風呂を安心して楽しみ、ゆったりとリラックスできる空間を作ることにしたのです。
クラウドファンディングは目標額の177%まで到達し、無事目標を達成!2019年12月、ついにリニューアルオープンを迎えました。
リニューアルに伴い、施設名は新しく「誠の桧湯(まさのひのきゆ)」と名づけられました。最大で6名まで利用可能の貸切温泉で、すでに数多くのローカルメディアにて取り上げられるほど注目のスポットとなっています。最後に、今回紹介した「誠の桧湯」の利用方法を簡単に紹介しておきますね。
まずは公式HPのカレンダーを確認して予約します。オンライン予約はクレジットカード決済が可能です。当日の受付・支払いは「誠の桧湯」ではなく「湯来交流体験センター」にて行われるため、まずは「湯来交流体験センター」を目指しましょう。「湯来ロッジ」の隣にある施設で、「誠の桧湯」からは車で1分ほどの距離です。
料金は4名までなら1回(60分)で3,000円。追加料金は大人が750円、子ども(4~11歳)が400円です。タオルは持参しても良いのですが、1枚1,000円の記念タオルも販売されていますよ。
地元の人でも最近は「湯来に温泉なんてあった?」と思われることが多いほど、存在感が薄れてしまっていた湯来温泉。「誠の桧湯」がきっかけとなり、また温泉街としてにぎわう日も近いのかもしれません。ぜひヒノキの香りとなめらかなお湯をお楽しみください。
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