ベトナムの旧正月(テト)
ハノイ駐在員事務所
信重 宏行
- はじめに
シンチャオ。広島銀行ハノイ駐在員事務所の信重です。
ベトナムに赴任して以来、現地の文化や生活習慣に触れる機会が増えましたが、なかでも最も印象的だった行事が、ベトナムの旧正月「テト」です。テトはベトナム最大の祝祭であり、家族や親戚が集い、新しい一年の幸福と繁栄を願う特別な期間です。日本のお正月と同様に一年の始まりを祝う大切な行事ですが、その過ごし方や街の雰囲気には、日本とは異なる点も多く見られます。
今回は、テトの主な風習や日本のお正月との違い、そして私自身がハノイで体験したテトの様子についてご紹介します。 - テトの風習
テトは旧暦の元旦を祝う行事で、毎年1月下旬から2月中旬にかけて行われます。2026年のテトは2月中旬にあたり、2月14日から2月22日までの9連休とする企業が一般的です。
テトの期間中は、家族や親戚が一堂に会し、祖先を祀る儀式や家族団らんの時間を大切にします。準備は旧暦12月に入る頃から本格化し、街中はテト用の食材や飾り物を買い求める人々で大いに賑わいます。
象徴的な飾りとして、北部では桃の花(ホアダオ)や金柑の木、南部では黄色い梅の花(ホアマイ)が用いられます。いずれも幸運や豊穣の象徴とされ、家の玄関やリビングに飾られます。
また、テトの食卓に欠かせない料理が、もち米・豚肉・緑豆をバナナの葉で包んで蒸した伝統料理「バインチュン」です。さらに、日本と同様にお年玉を渡す習慣もあります。
共用スペースに飾られた桃の花

共用スペースに飾られた桃の花
- 日本のお正月との違い
日本のお正月にも、飾り物やおせち料理、お年玉などがあり、テトと共通する点は多く見られます。一方で、ベトナムならではの独自の風習や雰囲気も感じられます。
まず特徴的なのが、テト前の街全体の高揚感です。数週間前から祝祭ムードに包まれ、花市や露店が立ち並び、色とりどりの花や飾り、食材が所狭しと並びます。年末の慌ただしさというよりも、春の訪れを心待ちにする明るい雰囲気が印象的です。
また、日本では正月を比較的静かに過ごす家庭が多いのに対し、ベトナムでは親戚や友人宅を次々に訪問し、非常に賑やかに過ごします。ハノイ市内でもテト期間中には数か所で花火が打ち上げられ、盛大に新年を祝います。

道端で販売される桃の花

バイクで配達される金柑の木

道端で販売される桃の花
バイクで配達される金柑の木お年玉の習慣にも違いがあります。日本では主に大人から子どもへ渡しますが、ベトナムでは職場の同僚や目下の人に渡すことも多く、日頃の感謝や新年の祝意を伝える意味合いが込められています。
さらに、休暇期間が長い点も特徴です。テト前後に1週間以上の休暇を取得する人も多く、この期間は経済活動が一時的に大きく減速します。元日から営業する店舗も多い日本とは異なり、ベトナムでは元日に営業する小売店や飲食店はほとんどありません。 祝日が比較的少ないベトナムにおいて、テトは「しっかり休む」ことを重視する特別な期間であると感じます。

テトの装飾品が並ぶハンマー通り
- 筆者のテト体験
私自身も、2025年のテト期間中に事務所スタッフのご家庭に招かれ、ベトナムのお正月を体験する機会をいただきました。お寺への初詣や、バインチュンをはじめとする手料理を囲んでの団らんなど、日本ではなかなか経験できない貴重な時間でした。
このような体験の機会を設けてくれたスタッフには、とても感謝しています。
テト期間中、スタッフのご家庭でふるまわれた
伝統的なベトナム料理
ベトナムの伝統衣装「アオザイ」を身にまとい、
初詣をする我が子たち
テト期間中、スタッフのご家庭でふるまわれた
伝統的なベトナム料理
ベトナムの伝統衣装「アオザイ」を身にまとい、
初詣をする我が子たち - おわりに
ベトナムのテトは、単なる年始行事ではなく、家族や先祖、地域社会との絆を深める非常に大切な時間です。
広島銀行ハノイ駐在員事務所としても、こうした現地の文化や習慣への理解を深めながら、スタッフや取引先との信頼関係を一層強化し、 ベトナムと日本をつなぐ架け橋として、両国の発展に貢献していきたいと考えています。