街を「面」で感じる選択肢

HIROGIN GLOBAL
CONSULTING PTE.LTD.
澤本 康紀

 シンガポールは、地下鉄やバスなどの公共交通機関が非常に発達しており、世界でも有数の移動しやすい都市として知られています。そのため、日常生活はもちろん、出張や旅行で訪れても不便を感じることはほとんどありません。そんな環境の中でも、筆者は通勤や休日の外出時にシェアサイクルをよく利用します。効率よく移動するのであれば公共交通機関を利用した方が便利な場面も少なくありませんが、それでもあえて自転車を選ぶのは、移動そのものを楽しめるからです。

シンガポールF1グランプリ スタートピット
シンガポールF1グランプリ スタートピット

 出発地から目的地へ向かう途中には、公共交通機関では気付きにくいことが数多くあります。目的地だけを目指す「点」の移動ではなく、その道中も含めて街全体を楽しむ「面」の移動、こうした楽しみ方ができることがシェアサイクルの大きな魅力の一つだと感じています。

シンガポールF1グランプリ スタートピット
シンガポールF1グランプリ スタートピット
カラン川 河口部
カラン川 河口部

カラン川 河口部
カラン川 河口部

 シンガポールの街中には「HelloRide」や「Anywheel」といったシェアサイクルが数多く設置されています。利用方法は日本とほぼ同じで、アプリでQRコードを読み取って自転車を解錠し、目的地近くの専用ポートに返却します。日本との違いとしてまず挙げられるのは、シンガポールのシェアサイクルは非電動の自転車であることです。日本では電動アシスト付きのシェアサイクルが多く見られますが、シンガポールは国土の起伏が少なく、急な坂道もほとんどないため、非電動でも快適に利用できます。

商業エリア中心部にあるシェアサイクル駐輪場

商業エリア中心部にあるシェアサイクル駐輪場

また、シンガポールのシェアサイクルには小型の太陽光パネルが搭載されており、解錠・施錠や前照灯、GPSなどの電源を太陽光で賄っています。電動アシスト機能がないため大容量バッテリーを搭載する必要がなく、充電や交換の手間やコストもかかりません。この合理的な仕組みにより運営コストが抑えられ、利用料金は30分あたり1シンガポールドル(約125円前後)からと、物価が高いシンガポールでも気軽に利用できる価格設定となっています。

太陽光パネル(かご前部)

太陽光パネル(かご前部)

 マーライオン公園やガーデンズ・バイ・ザ・ベイなど有名な観光地の周辺には、公共交通機関や徒歩では立ち寄りにくい公園やウォーターフロント、フォトスポットなどが数多く点在しています。移動を「点」から「面」へ変えることで、目的地へ向かう時間そのものが、一つの目的になります。時には遠回りになることもありますが、その寄り道が人生を少し豊かにしてくれるかもしれません。出張や旅行でシンガポールを訪れた際には、ぜひシェアサイクルを利用してみてはいかがでしょうか。

イーストコーストパーク サイクリングロード
イーストコーストパーク サイクリングロード
マリーナ湾越しに望む国立競技場
マリーナ湾越しに望む国立競技場