プノンペンのいま
バンコック駐在員事務所
吉田 恭脩
バンコック駐在員事務所では、タイに加えてカンボジアとミャンマーも担当しています。そこで今回は、カンボジアの首都プノンペンの最新情報についてご紹介します。
カンボジアといえば、まずはシェムリアップにあるアンコール・ワットの名前が挙がるかと思います。しかし、日本人はカンボジアへの渡航に際してビザの取得が必要であり、
現在は日本からの直行便もないため、最近カンボジアを訪れたという方は少ないかもしれません。
また、観光の中心地であるシェムリアップと、政治・経済・文化の中心地であるプノンペンは少し距離があるため、プノンペンを訪れた方はさらに少ないかと思います。

アンコール・ワット
まず空路でプノンペンに到着すると、本年9月に新しく開業したテチョ国際空港が迎えてくれます。
近年、カンボジアでは中国の支援によって主要インフラの開発・整備が進められており、テチョ国際空港も中国企業が建設を手掛けたものです。 街中では中国語の看板を目にすることも多く、その影響力の大きさは一目瞭然です。

テチョ国際空港
そしてテチョ国際空港から車で30分ほど走ると、プノンペンの中心地に到着します。プノンペンの人口は235万人(カンボジア人口:1,728万人)と、広島県の269万人よりも少なく、
中心地の街並みは日本の地方都市と同程度といった印象です。
しかし、実際に訪れてみると高層ビルも数多くあり、イメージに反して発展していると感じるのではないでしょうか。
街中の移動についても、他のASEAN諸国同様、スマートフォンアプリによる配車サービスが浸透しています。

プノンペンの街並み

トゥクトゥクの配車サービス
カンボジア随一の商業施設といえばイオンモールであり、現在、プノンペンで3店舗が展開されています。2014年にイオンモールが進出するまで、カンボジアには大型のショッピングセンターと呼べるものはなく、
現地では「Before AEON、After AEON」という言葉があるほど、人々の生活に大きな影響を与えました。
また、街中での支払いはほぼすべて米ドルの使用が可能であり、現地通貨のリエルを使用する場面はほとんどありません(米ドルで支払っても、お釣りはリエルで戻ってきます)。

イオンモール 3号店
さらに本年7月、プノンペンにあるトゥールスレン虐殺博物館やチュンエク虐殺センターなどが世界遺産に登録されたことも重要なトピックです。
カンボジアは以前、ビジネスの面において「タイ+1」として注目を集めていましたが、足元ではタイとの国境紛争により国境が全面閉鎖されており、タイ製品の不買運動も起き、カンボジアで事業を展開しているタイ大手企業の閉店も目立つようになっています。
その他にも治安の悪化等、カンボジアが直面している課題はありますが、プノンペンを中心とした若者の多いカンボジアの今後の発展に、これからも注目していきたいと思います。
写真はすべて筆者撮影
(2025年11月)