ベトナムの伝統的な結婚式

ハノイ駐在員事務所
ド・ティ・ニュン

 シンチャオ(ベトナム語で「こんにちは」です)!ハノイ駐在員事務所スタッフのニュンと申します。所長の中山に代わって今回初めてレポートを書かせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆さんはベトナムの結婚式について聞いたことがありますか?今回はちょっとルールの多い、伝統的なベトナムの結婚式について紹介します。なお、ベトナム人の約8割が仏教徒ですので、仏教スタイルの結婚式について説明したいと思います。

 ベトナムの結婚には2つの大事な式があります。それは、「婚約式」と「結婚式」です。

 まず「婚約式」は、結婚の許しを得るため花婿の家族が花嫁の家にお祝いの品を持っていく儀式です。お祝いの品は、花婿家族の経済状況や花嫁の村のしきたりによって違いますが、普通はお菓子や果物、ケーキなどで、たくさんの数が必要です。

 そして、お祝いの品を花嫁側に渡す人は、若い独身の男性でなければなりません。そして、受け取る人は若い独身の女性と決まっています。男女それぞれ5名か7名か9名(ベトナムでは奇数が縁起が良いです)を親戚や知り合いの中から選ぶのですが、人数が足りない場合は結婚式専門の人材派遣会社に頼みます。その場合、まったく知らない人が式に参加します。

【ステップ1】
花婿と「お祝いの品交付ボーイズ」が花嫁の実家を訪問。

【ステップ2】
花婿御一行を待つ花嫁と「お祝いの品受取りガールズ」(ガールズが持っている赤い封筒はボーイズへのお礼のお金です)

【ステップ3】
お祝いの品の引き渡し。花婿は黒ジャケット、花嫁は白ドレスの方です。

(写真は全て筆者撮影)

 以上で「婚約式」が終了し、次に「結婚式」を行います。前日から両家でパーティーを行い、当日は花婿と家族、そして友達が花嫁を実家に迎えに行きます。そして花嫁とその家族を花婿の実家に招き入れます。そのときから花嫁は正式に花婿の家族になったとみなされます。

 ちなみに、私の地元のハイフォン市では、「式当日、花嫁が花婿の実家に向かっているときは、後ろを振り返ってはいけない」というルールがあります。振り返ると、お嫁に行きたくない、という意味になります。なので式の日は、みんな花嫁に後ろから声をかけないように気を付けます。

 そして式の日に悲しいルールが1つあります。それは「結婚式の当日は、花嫁のお母さんだけ、結婚式の会場である花婿の実家に行くことができない」というルールです。つまり花嫁のお母さんだけ式に参加できないのです。なお、一応花婿のお父さんにも、「花嫁の実家に行くことができない」というルールがありますが、そもそも自分の家に皆が来て式をしているので、こちらは寂しくも何ともないです。

 結婚式のルールや儀式については民族や地方によって異なりますが、だいたいは以上の流れです。最近は、外国の結婚式のようにホテルで行ったり、参加者も仕事の関係の人だけで簡単にする人も増えていますが、私は将来、伝統的な結婚式をしたいなと思っています(ルールが多くて大変ですが・・・)。