ベトナム民族文化を体験できる
おすすめスポット!!
「ベトナム民族文化観光村」

ハノイ駐在員事務所
ブー ホン バン

 初めまして。2022年8月に入社したハノイ駐在員事務所スタッフのバンと申します。私は2009年4月から2016年3月まで留学生や会社員として日本に住んでいました。日本が大好きですが、広島にはまだ行ったことがありません。次に日本へ行く機会があれば、広島に行ってみたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

ベトナム地図

 今回は、ベトナムの伝統的な文化を体験できる「ベトナム民族文化観光村」を紹介したいと思います。2010年9月に開業した「ベトナム民族文化観光村」はハノイ遷都1000年を祝う記念事業の一つとして、ベトナムにある54の民族の文化や風習を記憶し、後世に伝えることを目的に建設されました。ベトナムの人口の約9割はキン族が占めていますが、実はキン族以外にも53の少数民族があり、それぞれ固有の文化や習慣を持っています。少数民族の方々は、山地や丘陵地帯などの都市から離れた地域に住んでいるケースが多く、少数民族の方が居住するエリアまで訪問することはとても大変です。「ベトナム民族文化観光村」は、ハノイ市内中心部から約1時間でアクセスでき、入場料も30,000ドン(約190円)と格安ですので、気軽にベトナムの各民族の文化を体験することが可能です。

「ベトナム民族文化観光村」の敷地面積はおよそ1500ha(東京ドーム約320個分)ととても広く、徒歩で移動するのは大変ですが、施設内の至る所に電気自動車が運行されていますのでご安心ください。運動好きな方は自転車をレンタルし、施設内を巡ることも可能です。施設内は、「ベトナム北部エリア」、「ベトナム中部エリア」、「ベトナム南部エリア」の3つのグループに分かれており、異なる文化を展示しています。

ベトナム民族文化観光村の入り口で撮影した家族写真。
一番右が筆者

ベトナム地図

 「ベトナム民族文化観光村」にはベトナムの様々な民族文化が展示されていますが、そのなかで私が実際訪問して感じた見どころを3つ紹介します。

 1つ目は、「ベトナム北部エリア」で行われているサップダンス(竹の棒を使い、民族音楽にあわせて踊るダンス)です。ベトナム北部の民族は、旧正月やお祭りなどの時に、サップダンスを踊る文化があります。私も家族で体験をしてみました。簡単そうに見えるダンスですが、意外と難しいです。「ベトナム北部エリア」には、タイ族、モン族、ムオン族、ザオ族の方々が実際に暮らしており、踊り方を直接指導いただけます。

観光客に人気のサップダンス体験

 2つ目は、「ベトナム中部エリア」にあるバナ族のユニークな建築作品であるロン(Rong)の展示です。ロンは茅葺きの巨大な屋根をもつ集会施設で、バナ族の村では、ロンが村の中心に建てられています。屋根の高さは約15~20メートルで、竹、木、草などの自然素材のみで建築されています。高い屋根は、村の繁栄を意味し、村人たちは手作りで頑張って高い屋根のロンを建築するようです。

バナ族の集会施設、ロン

 3つ目は、「ベトナム南部エリア」にあるクメール族伝統のクメール寺の展示です。ベトナム南部エリアは、現在のカンボジアの元となるクメール王朝が統治していた時代があり、その名残で多くのクメール族が暮らしています。ちなみに、クメール族は、約130万人の人口を擁するベトナムで最も人口が多い少数民族です。「ベトナム民族文化観光村」に展示されているクメール寺はとても大きく迫力があります。大きさだけでなく、細部には細かな彫刻が刻まれています。私はベトナム北部の出身なので、クメール寺は初めてみたのですが、ベトナム北部にはない建築様式のとても派手なお寺で驚きました。

細部の彫刻がとても美しいクメール寺

 また、常設展示以外にも「ベトナム民族文化観光村」では、イベントが定期開催されています。特に大きなイベントは、1.「旧正月明け(2月頃)のイベント」、2.「ベトナム民族文化の日(4月19日)のイベント」、3.「ベトナム文化遺産の日(11月23日)のイベント」です。ロロ族の安定した天候を祈る儀式やムオン族が両親や祖父母に対する孝行の意を示す儀式など、とてもマニアックなイベントも開催されています。

 ベトナムの民族文化を気軽に体験できる「ベトナム民族文化観光村」ですが、残念ながら海外からの観光客には存在をほとんど知られておりません。ベトナムの魅力がつまったお勧めスポットなので、外国人観光客の方にも「ベトナム民族文化観光村」に行ってほしいと思っています。2024年5月に広島ハノイ間の直行便が就航され、広島とハノイはぐっと近くなりました。皆さんもハノイへお越しになる機会があれば、少し足を延ばして、「ベトナム民族文化観光村」を訪問してみてはいかがでしょうか。

  • 投稿者の雰囲気等をお伝えするために、なるべく原文のまま掲載しております。

写真はすべて筆者撮影