上海市のロックダウン

上海駐在員事務所
吉崎 直敏

 ニーハオ! 野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)が4月16日までに明らかにした調査によれば、新型コロナウイルス(オミクロン変異株とその亜種)が再流行する中国において、45都市で何らかの都市封鎖(ロックダウン)が行われ、対象が3億7,300万人に上るとみられるとのこと。
 今回のコラムは3月28日から始まった上海市を東西に分けてのロックダウンについて紹介します。

  • ゼロコロナ政策下で起きていること

     初めに、中国全体の「ゼロコロナ政策」について個人の経験に基づき説明します。陽性者が確認された場合、その人の居住区域や職場、直近数日間に立ち寄ったお店などが一定の期間封鎖され、その間に封鎖場所の消毒や濃厚接触者などのあぶり出しが行われます。封鎖解除の最終的な判断は現場を管理する政府の指示によって決まるため、封鎖の終わりが見えないことに多くの人々が頭を悩ませています。

     『陽性者が確認された場合、感染経路を追跡し、関係すると思われる人の流れを完全に断ち切る』というのが、「ゼロコロナ政策」の特徴であると認識しています。

  • 上海市のロックダウン
    • 生活面

      さて、ロックダウン中の上海市においては、図表1のように封鎖解除までのルールが示されています。

      (図表1)

       陽性者が14日間出なければ封鎖解除となるルールではありますが、陽性者が大幅に減ることは無く、多くの人々が不自由な生活を強いられている状況です。写真1は私の居住区域に支給された政府からの支援物資ですが、知人と情報交換をしたところ、支給回数や内容が異なっていました。また、普段であればあらゆる商品の個配デリバリーができますが、配達員の多くも封鎖管理中のため配達が出来ません。その代わりに居住区域内で団体購入することにより食料などを調達しています。現在の上海はそれぞれの事情で必要なものが手に入りにくい状況です。

      (写真1)
      (写真1)

       現在、生活面において大きな問題となっているのは高齢者の買い物です。持病を持っている人の通院や常備薬の調達など、その他にも枚挙に暇がありませんが多くの人々が様々な困難に直面しています。

       このような暮らしにくい状況下においても、心が安らぐ場面があります。私の居住区域内では、高齢者や外国人を優先して助けようと懸命に動いてくれる人たちがいて、『困っていることは無いか?』と積極的に声を掛けてくれます。また、お互いに物々交換するなどして、困難を乗り切ろうと助け合っています。

    • 企業活動

       このような状況下ですので、企業の多くは活動が停滞しており、全業種に影響が出ているのは疑う余地もありません。また、上海のロックダウンにより高速道路も封鎖管理が実施されており、特別な許可を持っていないと通行することが出来ず、サプライチェーンにも大きな支障が出ているようです。日系企業が直面している事例は以下の上海日本商工クラブホームページに掲載してあります。

      【事例紹介:上海日本商工クラブ】https://www.jpcic-sh.org/news/article/newsid/3375

 ロックダウンが解除される見通しは立っていない状況ですが、第一線で奮闘する医療従事者や各種ボランティアの方々への感謝と敬意を表すとともに、一日も早く事態が正常化するよう祈っています。

写真は全て筆者撮影

2022年4月18日現在