ゼロコロナ解除と高まるインバウンドへの期待

上海駐在員事務所
吉崎 直敏

 ニーハオ!

 今回は中国におけるゼロコロナ政策や解除後の状況などをレポートします。

1.ゼロコロナ政策

 世界的にも大きく報道された上海市の2か月に渡るロックダウンですが、ロックダウンが解除された6月1日以降、上海市内では街の至る所に簡易のPCR検査場(写真1)が設置され、毎日のようにPCR検査を受ける日々が続いていました。
オフィスへの出勤や公共交通機関で移動する際には携帯電話のアプリで管理されている陰性証明(写真2)を提示しなければなりませんでした。この他にも各都市によって独自の規制が敷かれたことにより、都市間移動もままならぬ、不便な環境下での生活を余儀なくされていました。

 また、世界一厳しいといっても過言ではない水際対策(例:ホテルでの強制隔離)もゼロコロナ政策の大きな特徴と言えます。

写真1

(写真2)

(写真3)

2.ゼロコロナ政策解除後

 昨年12月9日、中国政府は約3年に渡り継続してきたゼロコロナ政策を突如解除したことで、PCR検査も不要となり、水際対策も完全に撤廃されました。役目を終えたPCR検査場はインターネット上で販売(写真3)されており、商魂たくましい中国を象徴しています。

 さて、厳しい行動制限が無くなり、感染対策を国民の自己責任とした途端、コロナウイルスの感染者が急増しました。ここ上海でも12月中旬から1月初旬にかけて、あまりの感染者の多さに外出もままならない状況が続きました。1月中旬以降になると感染の波も落ち着き、今現在は平穏な日々が戻ってきています。

 上海以外の都市も落ち着いているようで、中国の南側に位置する広州や深センに行った際は商業施設や飲食店なども大変にぎわっていました。

3.高まるインバウンドへの期待

 今、中国のSNSではようやく自由を取り戻した中国人が国内や海外で旅行を満喫している様子が数多く投稿されています。日本は中国からの渡航者に空港でのPCRを義務付けていることや、団体旅行が解禁されていないことから、今のところはSNSでの投稿は目立ちません。

 一方で旅行会社の方に話を聞いてみると、日本向けの団体旅行の予約が殺到しているそうです。理由を聞いてみると昨今の円安を背景としたあらゆる商品やサービスの割安感が人気の秘密のようです。また、富裕層には人間ドックなどを旅程に組み込んだ医療ツーリズムもニーズが高いようです。

 今年5月にはG7広島サミットが広島で開催されます。広島や瀬戸内エリアには豊かな観光資源がたくさん存在します。サミットをきっかけとして広島を訪れる方が増えることを祈念してやみません。

写真は全て筆者撮影

2023年2月16日現在