広島牡蠣が上海で大ブーム!
上海駐在員事務所
吉崎 直敏
ニーハオ!
今回は上海における広島牡蠣の状況などをレポートします。
1.牡蠣の生産量と消費量
広島県は牡蠣の生産量が日本一(シェア約60%)であることは良く知られていると思います。一方で農林水産省と水産庁の調査によると、日本全国ではここ20年間で生産量が3割減少(22万トンから16万トン)しているようです。 日本一の生産量とは言え、全体の生産量が減っていることから、牡蠣の養殖産業に携わる方にとっては深刻な事態だと推察されます。
2.中国における牡蠣の生食ブーム
上海市内にはオイスタバーが少なくとも40店舗以上あります。また、生食の牡蠣を提供する飲食店も非常に多く、その店舗数は数え切れません。
生食の牡蠣は1個あたり1,000円から1,500円くらいで販売されており、1人で3個や4個食べるのは当たり前で、多い人で10個以上食べるツワモノも。
まさに「牡蠣の生食ブーム」と表現してもおかしくない状況下にあります。もちろん生食が嫌いという方もいますが、私自身の周辺調査では約7割の中国人が生食の牡蠣を好んで食べています。
3. 上海における広島牡蠣の普及活動
広島銀行では2021年度、2022年度に広島県から広島牡蠣の中国向け輸出促進支援事業を受託しました。
2021年度は市場調査や飲食店オーナー向けの試食会(写真1)を上海市内の有名なレストランで実施し、広島牡蠣が中国市場でも十分通用することを確認。
2022年度は既に上海を中心に広島牡蠣の普及に取り組まれていた取引先と連携し、飲食店の個人消費者向け普及イベントの実施(写真2)、
広島県産牡蠣の正規取扱店を認定する制度を創設(写真3)するなどし、ブランド化を図っていきました。
(写真1)
(写真2)
(写真3)
その結果、中国のSNS投稿数で、世界的に有名な日本の牛肉よりも一時的ではありますが、広島牡蠣に関する投稿数が上回り、大いに盛り上げることができました。また、上海市内の広島牡蠣取扱店舗は150店舗に迫る勢いです。
4.取引先の広島牡蠣輸出ストーリー
広島県の事業で連携した取引先は2016年頃から中国向けの輸出に取り組まれ、6個のサンプル輸出からそのストーリーが始まったとのこと。 輸送途中での大量死やゼロコロナ政策下での厳しい通関など、様々な困難を乗り越え、2022年には数十万個を輸出。 2023年についても過去最高記録を更新する勢いだと聞いています。また、喜ばしいことに取引先が当初から連携している牡蠣の養殖場はしっかりと事業を拡大され、後継者も広島に戻ってこられたとのこと。
本事例のように、海外での需要をうまく取り込むことによって持続可能なビジネスモデルを構築できます。
海外ビジネスに関するお悩み事などがあれば広島銀行へ気軽にご相談ください。
2023年6月15日現在