最近の中国あれこれ

上海駐在員事務所
吉崎 直敏

 ニーハオ!

 今回はお取引先や友人などから最近よく聞かれるトピックスについてレポートします。

1.ALPS処理水放出後の影響について

 2023年8月24日に日本政府は第1回目のALPS処理水放出を始めました。その後、日本の関係機関や飲食店などに多数の抗議電話があり、外務省が「外出する際には、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な行動を心がける」と注意喚起を促すほどに事態が大きくなったことは、日本の報道などで知っている方も多いのでは無いでしょうか。

 また、中国政府はALPS処理水放出にすぐさま反応し、放出した同日から日本産水産物の輸入を全面禁止としました。

 一方で、私の生活面においては変化が全くと言ってよいほど無く安全に暮らせていますし、中国人の友人たちとも変わらず仲良く接しています。仕事面においては中国市場で広島県産牡蠣の普及活動が出来なくなったため、大きな痛手となっていますが、上海市内の飲食店や中国人の友人たちから、広島県産牡蠣の輸入再開を望む声が少なからず届いていることも事実です。 日本ではマイナス面の報道が多い印象がありますが、ここ中国現地においてそういった声があることを、このコラムを通して皆さまにも知って頂けると幸いです。

2.巨大な中国市場の開拓について

 「人口14億人、GDP世界第2位の巨大な中国市場を開拓したい!どうしたら良いの?」といった質問を受けることがあります。私自身の少ない経験や最近の中国国内のトレンドを見ていくと、中国市場開拓において有効だと思われる手段の1つに「何かとのコラボレーション」があるのでは無いかと考えています。

 実際に広島県産牡蠣の普及活動において、日本酒と調味料をセットにして普及(写真1)したところ、牡蠣だけで普及していた時よりも、販売量や知名度がアップしました。コラボレーションすることでそれぞれの商品の魅力が消費者により伝わったのだと感じています。

(写真1)

(写真2)

 さて、上述の実体験とは別の事例として、中国で大きな話題となったコラボレーションも紹介します。
写真2は「コーヒーとお酒」のコラボレーションです。有名なコーヒーチェーンのラッキンコーヒーが、これまた有名な中国のお酒であるマオタイ酒とコラボし、マオタイ酒ラテを販売しました。販売開始前から大きな話題を呼び、販売初日の売上は1億元(約20億円)との報道も。味についての賛否や飲酒運転に該当するか否かなど、販売開始後も話題が途切れず、一時期は購入困難となるほどの大ブームを巻き起こしました。

 また、最近中国ではキャンプが大きなブームとなっていることから、「キャンプ×自社製品」のコラボレーションで自社製品の良さを上手く演出し、販売を伸ばしているメーカーも食品などの業種を中心に数多くあるようです。簡単には実現できないかもしれませんが、日本のアニメや漫画などキャラクターとのコラボレーションも有効な手段の1つだと思います。

 中国市場は巨大で魅力がありますが、世界中から多くの企業が参入しているため、競争が激しいのが現実ではありますが、今回ご紹介した事例のように、「自社製品×何か」のコラボレーションで中国市場開拓にチャレンジすることを検討してみてはいかがでしょうか。

 海外ビジネスに関するお悩み事などがあれば広島銀行へお気軽にご相談ください。

2023年10月16日現在