「電卓」? いえいえ「貝」なんです。

シンガポール駐在員事務所
大西 弘城

 広島銀行では10月23日に株式会社福岡銀行と海外ビジネス分野における業務提携を行い、11月からシンガポール駐在員事務所で福岡銀行とのオフィス協同利用を開始しました。お取引先企業の相互紹介や各種セミナー、勉強会等の共同企画・開催を行うなど、両行のネットワークを活用して、これまで以上にお取引先企業の海外ビジネスの発展に向けたサポートを行って参ります。

 さて、今回は両行の事務所が入居する「OCBCセンター」についてご紹介します。OCBCセンターはシンガポールの地場3大銀行の1つであるオーバーシー・チャイニーズ銀行の本店ビルであり、シンガポールの金融街であるラッフルズ・プレイスに位置しています。オフィスからはシンガポール・リバーや国会議事堂、最高裁判所、シンガポール国立博物館等の中心街を望むことができます。

 この「OCBCセンター」は1975年にイオ・ミン・ペイ(貝 聿銘)氏という中国系アメリカ人の建築家の設計によって建築されました。彼は1917年に中国広州市で生まれ、18歳で渡米。マサチューセッツ工科大学やハーバード大学で建築を学び、1965年に自身の建築事務所をニューヨークで設立します。代表作にはルーブル美術館のガラスピラミッドやジョン・F・ケネディ図書館があります。その作風から「幾何学の魔術師」と呼ばれ、1983年には建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞しました。

 「OCBCセンター」の外観は楕円形の円柱にボックス型のユニットをはめ込んだ設計になっており、45年前の建物とは思えない近未来的なデザインとなっています。真正面から眺めると「電卓」のように見えるかもしれませんが、実は「貝」をモチーフにしています。これは、イオ・ミン・ペイ氏の漢字名にある「貝」の文字をかたどったものと言われています。加えて、シンガポールの建物らしく、風水の要素も取り入れています。「貝」は、古来より貨幣として扱われていたように、「お金」を表しています。銀行の本店ビルだけあって、「金運」が大事ということでしょうか。

 ちなみに「OCBCセンター」は、シンガポール・リバーの川幅が最も広いエリアに位置しています。ちょうど魚がお腹に卵を抱えているように見えるため、「繁栄」や「お宝」を意味し、非常に縁起が良いとされています。このように弊行では、シンガポール有数のパワースポット(?)に事務所を構えておりますので、新型コロナが収束し自由に往来ができるようになった際には、ぜひお立ち寄りください。

(全て筆者による撮影)