ロボットバリスタ「エラ(Ella)」

シンガポール駐在員事務所
大西 弘城


また来るね「エラ(Ella)」!

 日本と同様に少子高齢化や労働力不足などの問題を抱えるシンガポールでは、近年、空港や美術館、介護施設などのサービス現場においてロボットの導入が進んでいます。労働生産性向上や省力化に取り組む政府は、さまざまなロボットの実証実験を行っており、この流れはコロナ禍において更に加速しています。日本でもニュースで報道された「新型コロナ感染対策監視ロボット」もその一つであり、街頭を巡回するロボットがマスク未着用等の違反者を検出し、警告を発する仕組みです。

 このようなロボット社会のシンガポールにおいて、最近の話題は都心部の商業施設に登場したロボットバリスタ「エラ(Ella)」です。注文に応じてコーヒーを入れるアーム型ロボットで、1時間あたり約200杯のコーヒーを提供できます。商品は200通り以上の組み合わせが可能であり、1杯約300~400円程度と物価の高いシンガポールにしてはお手頃な価格です。

 購入するには専用アプリのダウンロードが必要です。アプリ上で好きな商品を注文し、Apple Payやクレジットカードによって決済を行います。最初は少し面倒ですが、一度登録しておけば、次からは簡単。自分の名前を登録すれば、名前入りのカップを画面に投影してくれます。アームを一生懸命動かして、自分のために心を込めて(?)コーヒーを入れてくれる「エラ(Ella)」が何とも可愛らしく、ついついリピートしてしまいます。コーヒーを提供してくれた後には、アームを左右に振って「バイバイ」してくれるので、筆者は毎回、周囲に人がいないことを確認のうえ、手を振り返します。

 実はこの「エラ(Ella)」は、今年の12月にJRの東京駅と横浜駅に期間限定で設置される予定です。テストマーケティングの結果を踏まえ、今後、設置場所を増やしていく計画があるようですので、皆さんが日本で「エラ(Ella)」に会える日は近いかもしれません。その時はぜひ手を振ってあげてください。

(2021年11月30日時点)