マーライオンは海の生物?
HIROGIN GLOBAL
CONSULTING PTE.LTD.
澤本 康紀
初めまして、2024年5月にHIROGIN GLOBAL CONSULTING PTE. LTD.に着任しました澤本と申します。現地にいるからこその気付きや情報をお届けして参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回はOCBCセンターに入居する弊社のオフィスから眺めることができる、シンガポール川とマリーナ湾についてレポートします。
事務所からの景色
シンガポール川の河口付近は古くから、中継貿易の倉庫や商館が多く立ち並び、商業活動の中心地として栄えてきました。現在でも両岸は国会議事堂や国立博物館、金融街など、シンガポール経済の中心地となっています。
事務所からの景色
シンガポール川からの景色
シンガポール川は弊社オフィスの横を流れた後、シンガポールを象徴する観光名所であるマーライオンやマリーナベイサンズのあるマリーナ湾へ注ぎます。
河口部
マーライオンとマリーナベイサンズ
このマリーナ湾の水、おそらくほとんどの方が海水だと思うのではないでしょうか。実はマリーナ湾には「マリーナバラージ」という名のダムがあり、シンガポール川から流れ込む淡水の貯水池として利用されています。マーライオンは海の生物のはずですが、現在は淡水の湖畔を気に入り、すみかにしているようです
国土が狭く、水資源に乏しいシンガポールは長い間、国内需要の大部分をマレーシアからの輸入に頼っていました。そのような状況下、水の自給率を上げる策として、1987年に初代首相のリー・クアンユーが打ち出したのが、マリーナ湾の淡水化計画です。およそ360ヘクタール(Mazda Zoom-Zoomスタジアム広島 約156個分)ある湾を堰止め、湾そのものを貯水池にするという壮大な発想です。完成したのは構想から実に20年以上経過した2008年です。
マリーナバラージ①
マリーナバラージ②
マリーナバラージが果たしているのは淡水の確保だけではありません。マリーナ湾の水量(水深)を一定に保つことで、観光遊覧船やカヤック、噴水ショーなどのアトラクションの提供が可能となり、多くの観光客を魅了しています。水不足という社会課題を単に解決するだけではなく、付加価値として世界的な観光名所を生み出してしまうシンガポール政府の都市計画に真のサスティナビリティを感じました。