シンガポール流
ぶらり途中下車の旅

HIROGIN GLOBAL
CONSULTING PTE.LTD.
澤本 康紀

 東京23区とほぼ同じ面積に約600万人が生活するシンガポールでは、東京と同様に人々の移動手段として鉄道網が発達しています。シンガポールの鉄道には大きく分けて2つ、MRT(Mass Rapid Transit)とLRT(Light Rail Transit)があります。MRTは1987年の開業以来、急速に拡張され、現在では6路線143駅でシンガポール全体を広くカバーする基幹交通網となっています。一方、LRTは3路線42駅で主に郊外の住宅地やニュータウンとMRTを結ぶラストワンマイルの役割を果たしています。

路線図(Land Transport Authorityホームページより)
路線図(Land Transport Authorityホームページより)

シンガポールは物価の高い国ですが、初乗り運賃は日本円で100円前後、最大でも300円弱と、利用しやすい運賃設定となっています。筆者の息子は鉄道が大好きで、休日には1日中シンガポール国内鉄道旅をしていますが、1日で1,000円を超えたことはありません。ちなみに息子の一番のお気に入り路線は、ブギ・パンジャンLRTです。無人運転で進行方向の前面がガラス張りになっており、気分はすっかり運転手です。

ブギ・パンジャンLRT(筆者撮影)

ブギ・パンジャンLRT(筆者撮影)

ブギ・パンジャンLRT(筆者撮影)

ブギ・パンジャンLRT(筆者撮影)

 さらに、決済手段にも大きな特徴があります。紙の切符は廃止されているため現金決済こそできませんが、SuicaのようなICカードはもちろんのこと、Visaなどのクレジットタッチ決済にも対応しています。観光客や短期滞在者にとって、クレジットカード一枚で移動できる便利さは、非常に魅力的だと思います。

自動改札機(筆者撮影)
自動改札機(筆者撮影)

 駅周辺は日本と同様にショッピングモールや公園等の賑わい施設がありますが、日本との違いは駅ごとに異国の情緒が漂う点です。シンガポールは、中華系、マレー系、インド系など、さまざまな文化や言語をもつ人々が共に暮らす多民族社会であり、多様な食文化や伝統が自然に共存しています。チャイナタウン、アラブストリート、リトルインディアなど有名な観光地はもちろんのこと、観光ガイドブックに載っていない郊外の駅周辺でも独特な異国感を味わうことができます。

バンカリングの様子1(興洋海運様ご提供写真)
バンカリングの様子①(興洋海運様ご提供写真)

バンカリングの様子2(興洋海運様ご提供写真)
バンカリングの様子②(興洋海運様ご提供写真)

 日常の移動の中に、小さな発見や異文化との出会いがある、それがこの国の鉄道の魅力だと感じています。皆さんもシンガポールにお越しの際は、ぶらり途中下車の旅に出てみませんか。